2018年5月31日木曜日

180530 ハイパーレクシアのウラジミール君

#ハイパーレクシアとは,音と文字は結びついているが,文字を見ても意味をイメージしにくい状態を指します。

5月も終わり,ウラジミール君は勉強のサイクルが完全に確立したようです。
毎日,淡々とルーチンをこなしています。そのなかにもじこ塾もあります。
授業が終わると「疲れた~もう今日は家に帰りたい」と笑顔で言うのが口ぐせです(笑)

「1ヵ月前より読みやすくはなったが,疲れるのは変わらない」とも言っています。
が,先ほどセンター4Bを読んでみたら,10分強で解いたので,文字→意味の回路は順調に育っているようです(4B以外の長文は,まだ読めません)。

浪人生は,6月の過ごし方が非常に重要だと,私は思っています。
この1ヵ月,どこまで淡々とこなして距離を稼げるかが,夏以降の成長に大きく関わってきます。
ウラジミールはマーク模試でも設定した目標を無事クリアしたので,6月は淡々とルーチンをこなせることでしょう。まずはよかったです。

「勉強はしたくない…けど,その感情が小さくなったからしてるだけ」とどこか他人事のように自分語りをするウラジミール。彼のことばは,ディスレクシア以上に謎です(笑)

センター英語の演習


ウラジミール君は,音から単語が入っており,文字を見て音にできないと,ぱたっと解釈も止まります。上ではcoupleが読めなくて解釈が止まりました。

ウラジミール君の読字能力,ことばを線形的に並べる能力,英語の構文把握力,単語力・・・は毎回,着実に成長しています。
そのときどきのバランスが変化するため,字が崩壊したり,絶対に知っているはずの単語の意味が思い出せなくて頭が真っ白になったり,とめどなく話し続けて止まらなくなったり,といろんな混乱が出てきます。それらを現行犯逮捕して言語化するのが効果的なのは,ディスレクシアと同じです。


書いて覚えるタイプ。暗記するときは左手で書いているそうです


日本語の新聞記事を読んで,説明できるようにする。だいぶ慣れてきました


構文をとる練習。答案は右手で書きます。
最近,ちょっと字形が崩壊してきました
(ほめてます。おそらく,意味を考えて書いている証拠なので)

ハイパーレクシアとディスレクシアの読み方の違い。
ハイパーレクシアの人がまとまった文章を読むときは,「文章全体が何の話をしているのか」を常に知っている必要があります。全体把握が失われると,理解力ががた落ちします。
これは,断片的な内容から全体像を推測してしまうディスレクシア的な読み方とは,順序が真逆です。
ハイパーレクシアは,文章の「主語」(何についての話か)を常に知っている必要があり,
ディスレクシアは,文章の主語が抜ける傾向がある,とも言えます。

でも,両者は共通しているところもあります:
・単語,特に抽象的な単語の意味を覚えるのに苦労する
・なので,接頭辞や接尾辞,単語を演じる,エピソード記憶を使いたがる
・読んだ内容をイメージとして理解する
・ことばの音やリズムを重視する
そして,
・適切な訓練によって,読み能力はかなり向上する。これには特性の理解と本人のモチベーションが大前提