2019年11月20日水曜日

191115 金曜中3クラス(IDA後の初授業:ノーミスチャレンジの方法)


1週間お休みを頂き,アメリカのディスレクシア学会であるIDAに行ってきました。

今年は,衝撃的というレベルの教材や教授法との出会いはありませんでした。

でも,もじこ塾の集団授業はIDAの推奨内容にかなり沿っていることが分かったのと, 具体的な細かい修正点が分かったのが大きかったです。

IDAで聞いたことをもとに,授業を微調整したり,再確認したりしました:

1) 筆記体(10分間)
・今は,もじこ塾で自作したものを使っています。
・すべての文字を習った後は,ことわざを筆記体で書いています。
・ディスレクシア的には,筆記体を書く練習はLearn to Read(読み方を学ぶ)の段階ではずっと続けていいと,今は考えています。

2) ビンゴ
・このクラスの生徒はかなり読めるので,今は接頭辞をそろえた単語でビンゴをしています。今週のテーマは「reのつく単語」。
・ビンゴは,初見の単語をデコーディングする練習です。ディスレクシア的には,中学のあいだはずっと続けてよいようです。


3) 質問特集
・1分間で,簡単な質問(Where are you from? / Do you like soccer?など)にたくさん答えてもらい,その数を競います。
・このクラスは1つの質問に対し,2~3文で答えてもらっています。
・普段から瞬発的に返事をする練習を積んでおくと,いざという時もぱっと切り返せることを,渡米中に実感しました。



4) AGO(英語でUNO)
・イングリッシュ・オンリーでUNOをします。英会話の時間です。
・ゲーム中、自己紹介をします。これも渡米中に効果を実感しました。

~休憩~
このクラスは生徒全員の仲が非常に良く,罵倒・悪態も含め,話がはずみます。
進学校から自由教育,男子校・女子校・共学・不登校と,いろんな境遇の生徒が一対化しています。

5) 文法
文法と読み物のバランスに,目下悩んでいます。
文法も必要ですが読む練習も大事で,両方やると,時間が足りないand/or疲れて集中が続きません。
生徒たちも金曜で疲れているため、様子を見ながら扱う量を調節しています。

6)Let's Read
初見の文章の意味を理解してから,「ノーミスチャレンジ」と題する正しく読む練習を行っています。

IDAで,ノーミスチャレンジに関する発表がありました:

・この練習はMBAクラス(!)で行っても,最初のうちはかなり読み間違いが多い。
・まず正確さを追求すべき。速さを追求するのは,100%正確にデコーディングできるようになってから。
・意味が完全に分かるものを読むこと。
・総語数に対するミスの数を計算して(%),進歩を数値化すること。

そして
自分で読み間違いに気づけて自己修正した(self-correction)場合は,ミスには含めない

・・・この点を踏まえ,
「これからは,自分で言い直せれば,ミスにはカウントしないよ」
と伝えたところ,生徒たちはかなり気が楽になったようでした。

~~
この1年,ハリボーチャレンジはもじこ塾的に変化し,
単語に含まれる母音を特定する練習に最近は重きを置いているのですが,
IDAでも「母音の識別は難しく,かつ重要」と言っていて,驚きました。
「教師は,オトが似ている母音を,よく理解しておく必要がある」とのことです。
(metとmate,itとeatなど,allとold)

読み物に出てくる単語の母音の音がどれか,フォニックス表で確認しています。
上だと,lookとlock,talkとwork,quarter,through,managerが難しかったです。



ナイキのデザイナーのトップの人がディスレクシアだそうで,IDAから表彰されていました。
「自分の母語は落書きである(Doodling is my native tongue)。
自分は手を動かすことで考えがまとまっていく」
とスピーチで語っていて,この生徒のことを思い出しました↑


2019年11月14日木曜日

191112 ナツさん(ナツさん流・単語の覚え方)

11/5
こんにちは、ナツです。
今私の学校では、文化祭準備が進められています。(結構こき使われています)

今回は、品詞について教えてもらいました。そもそも品詞とはなんぞや状態だったので、この機会にじっくり教えてもらいました。名詞と代名詞の違い、形容詞と副詞、動詞、前置詞、それぞれの特徴や使っていい時、場所など教えてもらいました。ただ、理解まではできたのですがそれを文章に起こすほどの理解がまだなく、次回もう一度教えてもらう予定です。(私の記憶力がないだけですね( ̄∇ ̄))はい、ということで今回はこのぐらいにしておきます。文化祭準備で忙しいので…次回何か報告できるかもしれません。

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11/12
こんにちは、ナツです。
文化祭が終わったのですが、クラスで賞をもらえて全クラスの3位になれました〜(*´꒳`*)(私ごとですみません)

前回、品詞をもう一度教えてもらうとかほざいていた私ですが結局単語テストがまたあるのでそっちを優先してしまいました( ̄▽ ̄;)。
今回はconやcomが多く、覚えるのに苦労しました。

私が普段どうイメージして覚えているか書きたいと思います。




はじめに、何も見ず発音だけで先生と一緒に一回書き、
この時間違っている場所はすぐ指摘してもらい直していきます。
(※私が単語と意味を読み上げて,ナツさんがフォニックスを使ってスペルを書きます。
フォニックスルールに従っていない箇所は書けないので,そこは細かく確認します。)


次に、英語の隣に訳(意味)を書きイコールでつなげるイメージをしていき、


単語と訳をこれは同じ意味だと思いながら英語の下に同じ英語を3回ほど書きます。
(※②③からわかるように,ナツさんは,英語の文字列のイメージと,日本語の文字列のイメージが,比較的結びつきやすいようです・・・音と文字よりも。
その上で,英単語を言いながら,何回か書いていきます。)

この時一番最初に書いたものを見ながら書いていきます。

conducted=を行う (この列を見ながら、手だけで書く)
conducted
conducted
conducted                (こんな感じ)

英語を覚えるより日本語を覚える方が楽なので『を行う』を覚えておき、
conductedを薄っすらと覚えて本番に挑みます。(説明下手ですみません(´-ω-`))

これはあくまで私個人のやり方なので、自分に合った覚え方を探してください(╹◡╹)。


(※単語全体の視覚的イメージを覚えていて,より細かく覚えるために手に覚えさせている・・・という感じだと思います。

①聞いて書く,
②意味とつなげる,
③見て書いて,手と文字列のイメージで覚える
ですね。

①以外では音が介在していません。

でも,覚えるのにまったく音を使っていないわけではなく,
文字列に対応する音があると知れたことで,細部の記憶がだいぶ助かっているようです。)

ナツさんは,文字と音の結びつきがあまりに悪いので,このように日本語の文字列と英語の文字列を対応させて覚えています。
ディスレクシアと一口にいっても,比較的強い結びつきと弱い結びつきがあると思いますので,自分なりに得意な能力を使った覚え方を編み出すとよいと思います。)

2019年11月4日月曜日

191029 ナツさん(字が動いて見える)

こんにちは、ナツです。
中間テスト終わりましたね〜おつかれさまでした。



中間テストの結果は…って感じでしたね。はい。

え〜今回も単語テスト対策をしていきました。
イヤ〜疲れてたせいでなかなか頭に入ってこなくてですね、大変でした。
最後にble がつくのが多かったのですが文字列的にどうしてもフォニックスや、ローマ字読みで読めなくて苦戦しました。
※接頭辞や接尾辞は,フォニックスルールは度外視し,かたまりで認識するよう指導しています。漢字の部首のような感覚です。

tialなどティアルとか読みたくなってしまい心の中で暗示をかけるみたいにシャルシャルシャルって唱えてました( ̄▽ ̄;)
(本音 :唱えてもあんまり効果ないよ(*゚▽゚)ノ  )
※いやいや、唱えることはきっと効果がありますよ!


書くことなくなってきたな〜(´-ω-`)フッ。
仕方ないのでこの前あったことを書こうと思います。

授業中いつものように眠くなりながらノートを取っていたのですが、なんと!字が動いて見えたんですよ(`・∀・´)
その時は「あ〜字が動いて見える〜w」ぐらいに思ったんですが改めて考えると「ヤバイな⁉︎」と思うような事がありました。
疲れてたんですね、はい。
単語テストとりあえず頑張りますo(^-^)

~~
ナツさん,相当疲れてますね・・・\(^ ^ ) ヨシヨシ
レポートなど書く課題が多く,同級生よりも時間がかかるようで,毎回へとへとになりながら間に合わせているようです。

「字がうごめいて見える」はディスレクシアの症状として有名ですが,もじこ塾の生徒でこの症状を訴える人は数人しかいません。たいていの生徒はきっぱりと「自分は字が動いて見えることはありません。」と断言します。
しかし,「字が動く」と訴える一派も確実に存在します。
個人的には,錯視と関係あるのではないかと思っているのですが・・・

#錯視とは:
http://www.ritsumei.ac.jp/~akitaoka/
閲覧注意です。絵が動いて見えるので,気持ち悪くなるかもしれません。

私も翻訳奴隷(実務翻訳者)だった頃,自分の正常な限界を超えて長時間追い込まれるように訳すと,字がゆがんで見えてきたことが何回かありました。
同時にみぞおちのあたりがむずむずと気持ち悪くなってきて,自分は極限状態にあると知りました。

ディスレクシアの生徒は日常的に,そこまで自分を追い込んでいるのですね。
ほんとに無理しないでほしいです。


2019年11月3日日曜日

191008-22 高1クラス/すばる君

高1(水)クラスの助手をしながら,TOEFLリスニングの短期集中対策を行っている,すばる君より:

10/8
TOEFL対策の授業ではリスニングをして、聞こえなかった単語を探して、聞き直すことをしています。そして聞き取れなかった単語は発音練習をしています。もじこ先生の考えでは発音できれば聞き取れるそうなのでアプリで発音を確かめています。しかし、聞き取れないものを発音するのは難しくて、自分で少しずつ発音の仕方を変えながらうまくいった時と失敗したときを比較するようにしています。この練習はリスニングができるようになって、スピーキングの発音も改善するので一石二鳥です。
※たしかに・・・単語を正しく発音できる(つまり会話の場で想定通りの反応が返ってくる)と,だんだん聞き取れるようになると,私は信じているのですが,「聞き取れないものを発音するのは難しい」というすばる君の指摘も一理あります。

すばる君にしても他の生徒にしても,基本的に難しいのは母音です。(beganとbegun,walkとwoke,alongとaloneの違いは,母音の違いしかありません。)
口の形を見てもらい,真似してもらってダメ出しをしたり,スマホの音声認識機能を使ったりして,発音練習をしています。
「一石二鳥」と言ってもらえると,ほっとします。「急がば回れ」でもありますね。

10/15
水曜日への授業に助手として入りはじめて4回目にしてようやくアクセントの位置や発音の違いがわかってきた気がします。ただ時々、全く違いがわからない単語が出てくるのも不思議です。これらの聞き取れない一部の単語がわからなくてリスニングの問題が解けなくなっていたのかもしれません。
※このときは,「trouble」の母音が何か,わからないようでした。



高1クラスでは読み物の「ノーミスチャレンジ」(ミスなく読むことを競う)をしています。
最初の頃,すばる君は数行でつまづいていました。話の意味は黙読でわかるし完璧に訳せるのですが,正しく音読するのは難しいようでした。
しかし,数回でめきめきと力をつけ,この週ついにノーミス完走に成功。
単語とその意味を知っている状態だと,ノーミスチャレンジの成長が速いように感じます。
(ここから,ノーミスチャレンジは易しめの課題を使うのが[使うのも]効果的とわかりました。)

10/22
今回はTOEFL対策の授業についてです。TOEFLのリスニングテストは場面がだいたい決まっていて、授業を受けたりチューターに相談しに行ったり図書館で友達と会話するなどの大学での一場面だけが登場します。前回は保健室に具合の悪い学生が行く場面だったのですが、これは聞きとりやすかったです。一方で授業は内容が複雑で難しい傾向にあります。フォニックスで単語の聞き間違いや聞き逃しを減らしていきたいと思っています。

もじこも噂に聞くTOEFLを受けてきました(ちょうど100点でした)。
ディスレクシア的には,スピーキングにこそ伸びしろがあると感じました。
スピーキング(やライティングでは)俯瞰思考を生かして骨組みをがんばって表現することで,点数が残るかもしれません。

一方で,TOEFLはリスニングの比重がとても高い試験であることも知りました。
リスニングだけでなく,スピーキングにもライティングにも,リスニングの要素が含まれている試験です。
となると,すばる君の言う通り,フォニックスで地道に正しい音を体得することは,全般的な点数アップに役立つはずです。

2019年11月2日土曜日

191030/31 新宿中2クラス(水)(木)(クラス統合にあたって)

中2クラスはこれまで,新宿に2つありましたが,11月から1つに統合します。
統合するにあたり,水曜助手の伏見さんと,木曜助手のテュール君に,それぞれのクラスについて,書いてもらいました:




こんにちは。水曜日の授業をお手伝いしている伏見です。
回数を重ねるごとに上がっていく生徒達のQA100の結果に、四季の移ろいを感じる今日この頃です。

 本日は、この授業では2回目となる比較級を勉強しました。
今回は前回よりもハードルが少し高い比較級でした。

比較級・最上級を言いながら,タイプ別に分類する
これが完璧にできるようになってから,最後に書いて練習します



特に前回にも出てきたbadの変化については、引き続き悩まされているようでした。
私も未だに覚えられていません。
→bad, worse,worstですね。特にworseはスペルが不規則ですし音もわかりにくいので,大変そうです。

皆、ハリボーで比較級の一連のセットを並べながら、一生懸命その語のフォニックス的特徴を頭に入れていました。

子音と母音を表現するハリボーとポイフルは、難解な単語と共に何かの法則を覚えなくてはならない時に、法則と綴りを実際に俯瞰することを可能にしてくれるため、円滑な理解を手助けしてくれるありがたい存在なのだと、生徒達の打ち込む姿を見て改めて感じました。そのように考えると自宅でゆっくり勉強する際は別の物でも代用がききそうですね。


*happ・i・erと母音が2つ続くと,しどろもどろになる生徒が多く,とても難しそうなので,ハリボーで確認してみました。伏見さんの言う通り,文法事項であっても,音をしっかり確認することで,整理されて入ることが多いと感じます。


 次回からこのクラスは木曜のクラスと合流するので、このメンバーで授業を行うのは今日が最後でした。
引き続き心に余裕を持ちつつ励んでいってほしいなと思います。

☆  ☆  ☆


こんにちはテュ―ルです。
10月で木曜日の中学二年生クラスはいったん終了で水曜日の2年生と一緒に勉強することになります。
今回は木曜日クラスの総括を書きたいと思います。

木曜日の二年生はとても出席率が良く、テスト期間でも来るような子が多かったと思います。
また、とても知的好奇心が高く、いろいろな話が飛び交っていた印象を受けます。
にぎやかなクラスでしたし雰囲気も良く、フォニックスの定着も日に日に良くなっていたと思います。
「やってみよう!」といえば「やってみるよ!」、という姿勢がとても素晴らしく純粋な子が集まったクラスだったと思います。
自分のできなさにしょげることなくコツコツと積み上げられのでこれからもこの調子で頑張ってもらいたいです。

同世代のかかわりはとても大切だと個人的に思っています。
学校が違う同学年の子とのかかわりの中で自分のペースと高校生までの道を自分なりに見つけてもらえればと思います。
水曜日のクラスも木曜日のクラスもとても雰囲気がいいクラスなので心配はしていません。
これからに期待しています。
「自分もこうして,LDの仲間と一緒に勉強したかった」と折に触れて言うテュール君。わたしも,中学生は5~6人の集団授業こそ,仲間を通じて自己理解を深められるという点で,とても効果があると感じています。

~~
1. 筆記体
2. フォニックスビンゴ
3. 質問特集(QA100)
4. AGO
5. 休憩
6. 文法(比較級)
1) 前回の復習 2種類の比較級/最上級を言う
2) happy, earlyなど「yをiに変えて-erをつける」タイプの比較級をハリボーで作る
3) 坊主めくりで比較級・最上級を言えるか確認
4) ブギーボードに,教師が指定した単語の比較級・最上級のスペルを書く(30秒間タイムトライアル)
5) 穴埋めプリントで比較級・最上級の問題を解く

~~
中1から中2にかけての変化を振り返ると,激動といってよいと感じます。
できるようになったこと,できないことの苦しさ。体の成長とともにちょっとずつ,でも確実に来る読字能力の変化。投薬の効果。中1の頃の大変さは克服しても,やってくる次の大変さ。他の生徒を通じて知るいろいろな特性・・・
中2クラスに渦巻く雰囲気を書くのは難しいです。ただ、困難について直接ことばにすることが少なくても,生徒たちは確実に何かを感じ取っているとは言えます。

引き続き,英語力向上を通じて,生徒の心の成長をサポートしていきます。