2019年8月31日土曜日

190828 高1クラス

1) 筆記体
筆記体練習帳を完走した人は,英語の格言を書いています。



2) 鉄壁
鉄壁の単語テストを行っています。版元の塾と同じペースで進めているらしいですv
a) 派生語の確認
b)ビンゴ形式で単語テスト

3) 質問特集
単語テストで勝った人が,順番を決められます。
このクラスは,1つの質問に対し2文または3文で答えてもらっています。
3文で答えると,かなり会話らしくなってきます。

4) AGO
男子にとってこの手のゲームは絶対に外せません。特に、このクラスは"Can you attack him?""Do you have a Pick Up card?"とか、このゲームの最中に英会話をしています。
盛り上がる様子を見ていて,自由英作文につながるような質問を自作してみようと,ふと思いました・・・

~休憩~

5) 作文と発表「What did you do during the summer vacation?」
まず書いてもらい,それを読むという形で発表してもらいました。
少しずつですが,表現が蓄積してきたり,言いたいことをシンプルに整理するコツを身に着けつつあるように感じます。



6) 文法
最近は,Let's Readの文章中に登場する難しい箇所を,詳しく解説する形をとっています。本日はas ... as possibleを扱いました。和訳,英訳など。

7) Let's Read
L.A. Hill "Intermediate Stories for Reproduction"を引き続き使っています。
小話はきちんと読まないといけないという点で良い訓練になるので,もうしばらくこの教材を続けようと思います。
1. ひとり1文ずつ読み,次の人が訳す
2. オチを和訳
3. ハリボーで母音の発音を確認
4. ノーミスチャレンジ
5. 内容の質問に答える
6. ディクテーション&和訳




このクラスに限らず、ノーミスチャレンジの前に、ハリボーで単語の音(例:wantedの第一アクセントの母音は「au」である)を確認するようにしています。安心して読めるようになるようです。

また、お経のように平坦に読むのではなく、フレーズごとのまとまりで区切り、抑揚をつけて読むように言っています。吃音が出やすい生徒はお経風のほうが読みやすいようですが、ディスレクシア的にはおそらく、抑揚も意味理解の大切な要素になってくると思っています。
こちらが大げさに抑揚をつけて読んでみせたり、周りが「抑揚をつけなきゃだめじゃないか」と煽ったり(?!)するなかで、何ヶ月かすると少しずつ抑揚がつくようになってきます。今後も、抑揚をつけた読みを、地道に目指していきます。

190828 水曜中2クラス

こんにちは伏見です。
皆夏休みを満喫したのか、本日は楽しげな雰囲気がありました。
今回、私が授業の中で生徒さん達の成長を感じたのは英文音読です。
私なんぞよりもずっと早く、比較的にスラスラ読んでいました。
努力とは必ずしも自分の思った形で実るものではないので、理想に近しく実っている姿を見て感激しました。





1) 筆記体
2) フォニックスビンゴ
3) 質問特集
4) AGO
休憩
5) 会話(What did you do during the summer vacation?)
I went to ... / I played the game "..." / I watched the movie "..." / など,テンプレを示し,発表してもらいました。

6) Let's Read
マザーグースより「There was an old woman who lived in a shoe」
このクラスでも「これは植民地の比喩」と答える生徒が。
a) 1文ずつ読んでもらい,教師が意味を言う
b) 主な単語について,ハリボーで母音の発音を確認
c) 30秒チャレンジ(30秒で何回読めるか。ちょっと間違ってもいいのでどんどん読む)
d) ノーミスチャレンジ(間違えずにどこまで読めるか):このクラスは全員が完走しました。

久しぶりの生徒さんが多かったです。
みんな,体がひとまわり大きく,しっかりしてきた気がします!伸びざかりですね。体の軸ができてくると、それまでの訓練の成果が出てくるといいますか、読字能力が安定してくる気がします。

2019年8月28日水曜日

190827 ピノコさん

久しぶりにピノコ姉さんの登場です。
夏も、大手予備校に通いながら、合間をぬってもじこ塾にせっせと通いました。
6月頃から、次々と試練におそわれています・・・


7月
こんにちは、ピノコです
実は今私は大変弱っています。
というのも、住んでいた家の天井から水が漏れてきたのです!しかも一箇所じゃない!!予備校のテキストは水を吸ってふにゃふにゃに!!!という具合でした。
今はやっと落ち着いてイライラは治ったもののイライラしていた反動なのか、なんだか少し気落ちしています。

本当は模試の結果や英語の進捗状況を書こうと思っていたのですが、それを書けるほどまだ気持ちが強くないのでそれはまたの機会に
それでは、ピノコでした!

~~
1ヶ月ほどは転居でバタバタして、精神的に大変そうでした。
この頃、ふわふわ読みの弊害が明らかになり、私も「目的語という概念が理解できないなら受験は無理。田舎に帰りなさい」と厳しい言葉をぶつけました・・・
ふわふわ読みは否定しませんし、順番に処理するという感覚を持つことが一部のLDには難しいことも百も承知です。
でも、英語の坂を越えるには、どんな手を使ってでも血肉化しなければならない部分があります。それがフォニックス(文字と音の対応)であり、主語や目的語といった概念だと思います。
しかし、ピノコはこの挑発にちゃんと応えてくれました。ほんとにえらいです。今は歯を食いしばって、目的語に「~を」をつけて訳すよう、自分を律しています。


模試の振り返り:
8月は記述とマーク模試がありました。できた事よりも出来ない事の方が100倍くらい多い模試(毎度のことですが、、、)でした。英語に限らず、時間内に終わらせることは本当に至難の技で、時間が足りない事が分かっているので、少しアレ?とつまると急いでいるので焦り始めて雪崩の様に崩れるのは悪い癖だと思うものの、いざ試験となるとどうしても毎回同じ事をしてしまいます。逆につまってしまった問題にこだわり過ぎてしまう事も、今後の課題です。
記述模試の方では頭が全く動かずに久しぶりにふわふわ読みで読解問題を解いてしまいました。しかし、以前よりもふわふわ度が減って少し詰めて読めている様な感覚がありました。正確に構文を取る事を意識して読んでいるとふわふわ読みの精度も上がるのでしょうか?(⇒そうだと思います。)
最近の読解では読む文全てを全力で読んでいたので、もう少し力を抜いて読む箇所を作ってもいいのかしら?と思うに至った模試でした。
(⇒その通りですよ。全部の文を全力で読んでいたら、いくら時間延長しても足りません。英文の論理展開を意識しながら、しっかり読むところは読み、それ以外は(ほとんど)読まない、読みに強弱を付けることは大事です。

~~
ピノコは疲れを見せることなく黙々と解ける人です。想起が遅いので大変そうです。1.3倍の延長ではとても足りません・・・でも、令和元年の大学入試は時間も重要なファクターなので、その事実には向き合わなくてはいけません。つらいところですが。

ピノコはいま、ストレス解消の方法を知らないことに悩んでいます。気分がふさぎがちですが、気晴らしができないそうです。
受験生にとって、これは危険なこと。定期的に息抜きをしないと、肌寒くなってきた頃に、ばきっと心が折れてしまい、そこから快復するのはとても大変なのです・・・。
誰かピノコに、良いストレス発散法を教えてあげてください!

2019年8月27日火曜日

190826 国立中2/中1クラス

本日から2学期が開講します。
教室でみなさんにお会いできるのを、楽しみにしています!


◆中2クラス
紺さんより:
部活に宿題に、中学生は夏休みも忙しそうです。頑張ってます。

このクラスは生徒同士はもちろん、先生や助手との会話もとても多いです。
会話量は当事者の読み書きに強く活きる気がします。いいことだと思います。
読み間違いはとても怖いものですよね。
でも声に出そうとする姿勢がありありと見えるし、みんな本当に偉い…!
フォニックスビンゴも、かなり早く回せるようになりましたよね。
しみじみと、みんなの成長を感じた助手です。
9月からも一緒に英語を頑張りましょう〜。


1) 筆記体
自作教材。「宿題が終わらない」などと雑談しながら、手を動かす時間です。

2)  フォニックスビンゴ
初見の単語を、フォニックスを使って読む練習です。
もじこ塾では、中学生の間はずっとこれを行っています。
本日のテーマは「ouを含む単語」
準備:ouは「あう」と読むこと、四隅と中央の単語の読み方を確認。
1回戦:(「平和で」)3分はかって順に読んでいき、そろった列の数を競う
2回戦:(「つぶしあい」)正しく読めたらその生徒だけがそのマスを塗りつぶし、他の生徒は「封鎖」される(そこを読むことも塗ることもできない)。間違って読んだら、その生徒はそのマスを封鎖され、他の生徒がそのマスを塗りつぶせる。
1回戦で読んでいないマスを正しく読めた生徒は、もう1つ読める。
最初に1列取った人の勝ち。
3回戦:25個の単語のうち9個を選んで3×3に書き込み、1回戦の形式で行う。

「つぶしあい」はどのクラスも非常にヒートアップします。
必死に正しく単語を読もうとする様子は、「デコーディングするのはいい気分(It feels good to decode)」という言葉を思い起こさせます。

3) 質問特集(旧「QA100」)
これも自作教材。簡単な質問を投げかけ、1分間で何問に答えられたかを競う。
フィクション設定OK(一人っ子でも「Yes, I do. I have a brother」と答えることを許可しています)
とにかく瞬時に何かしら答えることが重要だ、というスタンスです。

紺さんより:
「質問特集はこれから2文にするよ〜」ともじこ先生が言うと
「ええええ〜〜!?? 1文がいい〜〜!!」ってみんなで揃って言うあたり、
素直で大変よろしい。笑
大丈夫、これも場数で伸びますよ〜。^^


4) UNO
イングリッシュオンリーの時間。ここでヒートアップしてリラックスすると、続くお勉強の部分に取り組みやすくなります。

~休憩~

5) Let's Read
マザーグースより「There was an old woman who lived in a shoe」


「この詩は何かの比喩らしいんだけど、わかる?」と聞くと
「どこかの国の悪い王様が国民を苦しめている?」と答えた女の子がいたのには驚きました。
a) 1人1行読む。講師が訳を説明する
b) フォニックス表を広げて、ハリボーカジノ(文章中に出てくる単語の母音を確認)
c) 30秒チャレンジ
d) ノーミスチャレンジ

6) 文法問題
助動詞の復習。

ここは、純粋ディスレクシアが集まる、非常に結束の強いクラスです。夏休みも終わり、高校受験を意識する様子も少しずつ感じられます・・・今後どうクラスを展開させていくか、常に考え続けなくてはなりません。

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◆中1クラス
個別指導となりました。このクラスは生徒募集中です!

1) 筆記体
2) フォニックスビンゴ


3) UNO
4) 生徒の要望を受けて、ローマ字を教えました。




紺さん:
もじこ塾でも、はじめての試み?ローマ字を扱いました。
日本語音とローマ字の対応(ルール)を確認したり、
小さい「っ」の書き方などを解説。ディクテーション(聞き取って書く)もやりました。
生徒さんは、フォニックスと同様、母音( e と i )の字が混線して、大変そうでしたが、
粘り強く手を動かし、気づけば大量に書いてました!素晴らしい〜!!(′v`)





#「e」は名前読みだと「いー」なので、ディスレクシア的には「イ」に相当するローマ字としてついeを書いてしまうようです。
この生徒は、自分の氏名にiもeも入っているので、それを使って思い出すように言いました。

フォニックスのブレンディングに苦労する生徒が一定数います(この生徒もそうです)。
このような生徒には、フォニックスを教えた後で、改めてローマ字のルールを確認すると、フォニックスの「C+V」のブレンディングがわかりやすくなるのかも・・・と予想されます。
例えば、/p/+/a/が「ぷあ」になってしまう生徒には、「『ぷあ』はつまり『ぱ』なんだよ」と明示すべきかもしれません。

ローマ字とフォニックスは確かに異なる部分もあります(uの読み方など、「っ」の表記、片方の言語にしかない音素)が、日本人が英語を使う限り、ローマ字はついて回ります。
両方の共通点と相違点を明確化するのが効果的な気が、今はしています。

2019年8月24日土曜日

190822 ぱぱさん

もじこ塾の設立目的である「社会変革」に賛同する,新しい生徒が入りました:


皆さん初めまして!ぱぱと言う者です。ぱぱと名乗ってますが実際は高校三年生だったりしますwこれから少しこのもじこ塾と出会った訳などを話していきたいと思います。

僕は高校2年生のときに共生社会について考えていく学校のゼミを取っていました。その最後の講座の題材がディスレクシアについてで、成田先生に講師として来ていただいていました。その時は、まだディスレクシアというワードすら何となくしか知らなかった僕でした。その講義の中で、簡単なディスレクシアの診断テスト(?)があり、ちらっとそこに書かれている文言を見ると、「あれ、なんかこれ僕のまんまじゃね?」と思いつつちゃんとみて見ると(確か12項目あったようななかったような)やはり殆どの項目に当てはまっていました。

⇒旧版のチェックテストですね。このとき「このテストって国語の話ですか,英語ですか」と彼から聞かれたのがきっかけで,「もじこ塾バージョン」と題したチェックテストを作りました⇒

次にグミを使って発音を試すテストのようなものをやってみたら、最初の問題で訳が分からなくなりお手上げでした。この時初めて自分がディスレクシアかもしれないと自覚しました。
⇒ハリボーのことですね。このときはフォニックスを教えて、それをもとにセンター試験の発音問題に挑戦しました。




 けど、今思えば昔からその兆候はあったなと思います。
中学校の時からかな、先生の話を聞きながら板書を書くのが絶望的に無理で、どちらかが追い付かなくなるともうあきらめてたことが多々あり、家でもある時から、日本語外国語問わずテレビに字幕を付けることが非常に多くなってました。(最近は外してみたりするんですが結局付けてることが多いです)

 ディスレクシアかもしれないって分かったとき、最初に感じた感情は『納得』でした。

勉強していて違和感として感じてはいたが理由が分からなかったことが一気に片付いて、ストンと落ちた気がしました。
次に受験が控えてる身としてどう付き合っていこうかなぁって一瞬思ったんですが、まぁいっかとその時はおいておきました。

 それから、ディスレクシアについて興味が沸き、高3の研究テーマにしよう!!って思いました。そして、研究を進めている内にまた成田先生とご縁があってもじこ塾に入った次第です。


 さて、今回話したい本題ですが、今まで学校で学んできて感じた違和感について話しつつ、余談程度に僕の文章の読み方(誰にこの方法を話してもおかしいと言われますw)を話していければと思います。

 僕が学校で感じてきた違和感は、「皆が一緒が素晴らしい」という風潮が蔓延してることです。人間、違ってこそ面白いのに今の学校教育は全員が一様であることに重きを置いているような気がします(学校の朝礼や、運動会の行進、卒業式等の一斉に起立するアレetc...)それに付随しているのか分からないですが、素行面だったり勉強面であったり、どんな分野でも、皆から飛び出ている人は先生はおろか友達からも叩かれることも多々あるということです。
これをしてしまうと、何か新しいことをするときに、絶対に周りの目を気にしてしまうようになってしまうので​​はないかと個人的にずっと思ってます。
特にディスレクシアの人たちは、個性が強い人たちだと聞いています。このような学校制度、ひいては社会でとても生きづらいと思ってしまいます。

僕は将来的には何らかの形でこの今まで感じてきた違和感を感じずに学生たちが過ごせるような社会作りに関わっていきたいと思ってます。
(⇒同志!!!(*´∀`))

さぁ、余談の僕の文章の読み方ですが、皆さんは普段どう文章を読んでいるでしょうか?

大体の人が、一文ないし一行だと思うのですが、僕の場合はほぼ1段落をまず一気に目を通して、その後にもう一回見て見落とした内容を拾っていく、という読み方をしているのですが、変ですかね?ww

こんな者ですがよろしくお願いします。

~~~
変とは思いませんが、普通じゃないですねw。ディスレクシア的にはあるあるな読み方ですが、ぱぱさんの場合、処理能力が半端ないです。

ディスレクシアは音と文字がつながっていないのが主症状ですが,そのなかでも彼は圧倒的な視覚優位型。新聞なら10行ほどのブロックを一度に見て,何秒かでキーワードを抽出。この方法でまずは最後までガンガンと目を通したあと,2周目で大意から細部へと詰めていきます。
このプロセスでは文字を音にすることはいっさいありません。
そして、俯瞰能力,短期記憶,知識量が超人的でないとできない読み方です(※)。

英語は、目の前で少し読んでもらったところ、キーワードだけ見て,あとは全力で意味を推測していました。
この方法で高校入試まで突破したそうですが(良い子のみんなは真似しないこと。理由:※)さすがに大学入試はその読み方では太刀打ちできません。

「英語は構文が重要。語順の感覚を持って、左から右に順に処理することがものすごく重要なんだよ」と言っても「不自由!拘束感はんぱねえ」と当初は断固拒否。6時間かけてようやく説得に成功しました。

圧倒的な文字処理能力に対し、音声から情報を得るのは苦手で,上にもあるようにテレビにも字幕がないと耳がついていかないとのこと。
集団授業についていくのは,ノートテイクを放棄すれば可能だそうです。

日本語も英語も、音読すると意味が頭に入らなくなるそうです。リスニングは非常に苦手。フォニックスも苦痛です。
でも、英語の文章を音読することは、まあできます。しかも彼の英語の発音はふんわりと心地よいのです。(第1の不思議な点)
「発音いいって言われるでしょ」と聞くと「帰国生の同級生に"発音がいい"と言われ,煽られてるかと思った」。
いわゆる"音楽の耳で言語を聞いている"気がします。
必要以上に繊細に言語音を聞き分けており、無駄に脳のリソースを食うはずです。

しかも、「リズムからわかる意味がある」と言って,ときどき小声で音読しています!(第2の不思議な点)

こんな彼には目の前で黙読してもらい、その視線や鉛筆の動きを観察することにしました。
しばらくは、構文をとって読む練習と、できれば音韻認識の訓練を行う予定です。

2019年8月19日月曜日

190816 某予備校、難関国立大クラス(定型の大学受験生に音韻認識を教える)

某予備校の夏期講習で、高3生にフォニックスを教え、センター試験の発音問題を、ハリボーを使って一緒に解いてみました。

◆前振り:
「リスニング問題で壁にあたっている人は,リスニング問題を大量にやる前に
そもそも英単語を構成する「音」について,緻密に分析したほうがいいと思う。
自分が聞こえていない音が何かわかると,リスニングも向上するはず。
同時に,発音問題もできるようになるという,おまけがあるはず」

「今から教える方法は,世界でも最新のもので,
去年アメリカの学会に行って仕入れて来ました」と煽り( ̄ー ̄)・・・

◆「これからフォニックスを教えます。フォニックスって知ってる?」との問いには:

・公立中出身の生徒は全員が知らず。「何それ、おいしいの?」状態。
・私立中出身の生徒1名が「一応学校で習った」(のちに、単に一覧をさらっと読んだだけと判明)。
・「予備校の中学部の先生が、発音記号を重視する教え方だった」
と語る生徒1名には、
「フォニックスというのは,発音記号に対応している音を,発音記号ではなくアルファベットの文字そのものに紐づけしたもの」
と言うと,フォニックスをすぐに理解しました。


この表の読み方を教えます。
高3の受験生だと,指示しなくても熱心に口を動かしてついてきます。
15分ほどでひととおり教えることができます。

続いて,センター試験の発音問題を解いてみました。
「アメリカで,この練習のときはグミを使ってねって言われたので,持ってきました~」
と言ってハリボーを出すと,生徒は大喜び(^^)。

一つひとつの単語をハリボーで表現してもらい,「この問題はここの音(ポイフル1個)の違いを聞いているんだよ」と指摘すると,フォニックスを知ったばかりの生徒は一様に驚きます。

驚きの具体的内容は
「そこを聞いているのか!」
「そんな細かいところを(以下同)」
「ここで聞かれていることは,フォニックス表に対応しているのか」
というもののようです。





◆感想:
「学校でフォニックスは習ったけど、判別までは習っていなかった。似た音の区別がめっちゃ疲れる、難しい」
「これまで英語に感じていたもやもやがすっきりした」
「今までセンターの発音問題では、まったく点が取れなかった。今回初めて正解できたのでうれしかった」
「難しい、全然わからない」(この生徒は、読解はよくできますが、ハリボーでは子音の後に母音を必ずつけてしまうなど、苦労していました)
全員、進学校に通う定型の高3です。

◆ディスレクシアの生徒との比較:
・フォニックスやハリボーに「驚く」という点は、ディスレクシアも非ディスレクシアも、それほど変わりません。
違うのは、フォニックスを知ってから自分で使えるようになるまでのスピードが、定型だと圧倒的に速い点です。

フォニックスを一回教えればすぐに覚えますし(正しく口の形を作るには練習が必要ですが)、「文字ではなく音で考えてね」と言えば、割とすぐ、そうできるようになります。
音節の概念も、言えばすぐに理解できます。

文字を見て音をすばやく想起できるし、音素を記憶しておき、操作することも簡単にできます。
このあたりに、ディスレクシアの生徒との違いを感じます。

今回の生徒は高3の上位層、つまり単語量がかなりあることも、英語の音の体系的理解を助けているのでしょう。
定型であっても、ある程度単語を覚えた段階で、音韻認識の指導を網羅的かつ明示的に行うことには効果があるようです。

・一方、日本語の母語干渉による間違いという点では、ディスレクシアと非ディスレクシアは共通しています。
rとlはもちろんですが、wとoo、long oと/au/の区別(noteとnot、wokeとwalk)、/ar/と/er/と/or/の区別(wereとwar)などが特に難しいようです。

今回は、ハリボーを並べて「英語は音と文字の対応がめちゃくちゃの、例外がたくさんある言語」だと言うと、生徒たちが心底ほっとした様子になるのが印象的でした。
都立トップ高に在籍し、難関国立大を志望する定型の生徒も、英語に関してはとても身構えているようです。
明らかにほっとしたその様子からは、英語の音や単語の読み方といった一見"基本的"なことを,「わからない」と言うのが許されなかったことが伺えました。

「英語のスペルはとても難しいもの。
これを読んだり覚えたりするのは、決して当然のようにできるものではない」
とはっきり伝えることで、生徒たちは非常に安心するようです。

~~

電子辞書の発達によって,単語の発音を簡単に聞けるようになりました。
しかしその反面,発音記号を教えなくなったことで,生徒は英語の音素をはっきり教えられないまま,単語を読むことを強いられており,そのことが定型の場合、英語に対する漠然とした不安の源になっているようです。
(ちなみに、ディスレクシアの場合、英語がまったく読めないことの源になっています)

英語の音素を体系的に教えること,文字と音の対応を教えることは,ディスレクシアであるなしを問わず,必要不可欠なステップなのだと,改めて感じました。

2019年8月17日土曜日

190817 ブロック体練習帳・筆記体練習帳の使い方


もじこ塾で使っている「ブロック体練習帳」(Let's Practice Handwriting!)と「筆記体練習帳」(Let's Practice Cursive!)の使い方をまとめました:




・まず「ブロック体練習帳」(Let's Practice Handwriting!) から始めてください。
ブロック体練習帳が終わってから、「筆記体練習帳」(Let's Practice Cursive!)に進んでください。

・もじこ塾では、授業の最初の10分を、筆記体の時間にあてています。
クラスによっては歓談が盛り上がるので、最後の3分間は静かに書いてもらいます。

ブロック体練習帳
「I do、we do、you do」の精神が基本です。

1. 先生がお手本を示す
2. 一緒にやってみる(先生が見守るなかで試す)
3. ひとりでやってみる

の順番で進めてください。

【基本形】
まず先生がお手本で書くところを、見せてあげてください。
書きながら、運筆を言葉で説明します。

もじこ塾では、最初は一斉に始めるので、新書大の小さなホワイトボードを使って、全体に示しています。
そのあとは、個人のペースで進めますので、個別に示します。



【基本形を使って文字を書く練習】
・新しいページを開いたら、生徒に「これは何という字?」と聞き、フォニックス読みを言ってもらいます。
・正解したら先生が復唱します。
・「心の中で…と言いながら書いてね」とうながし、書いてもらいます。

先生:これは何という字?
生徒:ディー(d)
先生:そうだね、で、なんて音だっけ?
生徒:/d/
先生:/d/、very good。(書きながら)芽が出たアーモンドを書いたら、上まで芽をぐ~っと伸ばして、折り返して、来た道を極力帰って、スマイル。心の中で/d/、/d/って言いながら書いてね。


・間違えても、消して書き直す必要はありません。
もじこ塾では、消そうとしたら「そんなことしなくていいよ」と止めています。それでも消して書き直そうとすれば止めませんが。
次に書くときに修正できれば、OKです。

英語の文字は、自分なりに書きやすいよう、多少アレンジしていいものです。
aの最後にスマイルをつけるかどうか、gの最後にループをつけるかどうかは、自分で決めてよいのです。
何度か書いて、自分の書きやすいバランスを探ってください。
小学校の漢字学習にありがちな厳格さを、要求しないでください。


↑この生徒は、pの傾きをいろいろ探り、垂直に書くのが楽だと気付いたようです。

きれいに書けるようになったら、次の字に進んでかまいません。
一方、熱中して隙間なく書く生徒もいます。良い書字練習になりますので、ほめてあげてください。


・10分たったら、そのときに書いている行を最後まで書いて、終わりにします。
ブロック体練習帳は教室で預かります。
家で復習する必要は特にないと思っています。手に書字用の筋肉をつけること、手に運筆を覚えさせることが目標です。

・dとbは、正しい運筆の順番を念押しし、書いているところを見て、正しければほめ、間違っていればやさしい口調で訂正してください。
特に、dを棒から書くと反転しやすくなります。ここで正しい順番を覚え、その後も普段から正しい書き順で書くように伝えてください。



筆記体練習帳
ブロック体練習帳が終わったら、いよいよ筆記体の練習です。

もじこ塾では、10分ぶんの筆記体のプリントを用意し、ホッチキスで留めてその都度渡しています。(紺さんが、生徒一人ひとりの書字のスピードを覚えていて、その子にあわせた量を綴じています。)

まず、最初のページにある、筆記体の効果を言ってあげてください。
「字がきれいになる」「スペルが覚えやすくなる」「英語が読みやすくなる」などです。

小文字では、新しい文字が登場するたびに、
1)「これは何ていう字だと思う?」と質問してください。
答えがすぐ横にあるので、先生が指で隠して質問してください。
字形をじっくり観察するのは、ディスレクシア的に貴重な時間です。

2)あたったら「good!」とほめます。
数秒考えてわからなかったら、正解を教えます。
「なんでこんな形になったんだ~」などと、形について議論するのもおすすめです。

3) 一度、運筆のお手本を示してください。
横に運筆の説明を載せてありますので、適宜参考にして頂ければ幸いです。

4) 本人に書いてもらいます。
先生は、正しく書けていることを、見守って確認してください。

5) 単語について
単語は、原則としてフォニックス読みできるものを選んでいます。

新しいページに入るごとに、単語を読んでもらいます。

少し考えて読めない場合は、先生がペン先で1文字ずつ指しながらフォニックス読みし、生徒にブレンディングさせてください。
先生:(1文字ずつ指しながら)「m」「a」「p」
生徒:「map」

たまに、フォニックス読みできない単語も含まれています。中1の教科書に登場することから収録してあります。
このような単語は、意味を言ってあげたり(「これは「小さい」って意味の…」)、フォニックス読みできる部分だけでもフォニックス読みしながら、読み方を教えます。

・上手に書けなくても消す必要がない点は、ブロック体と同じです。

・単語の意味も、さりげなく伝えることをお勧めします。
でも、単語の意味を覚えることが目的ではないので、理解を確認したりはしないで下さい。

・もじこ塾は中学生には宿題を出さないので、この練習帳は宿題にはしていません。
どちらかというと、目の前で運筆の様子を先生が見ているほうが、効果があるかもしれません。

なお、大学受験生には宿題にしています。
この場合も、渡すときに単語を読んでもらいます。提出されたものを見ながら感想を言い合います。

~~
筆記体の時間中、教室内にふっと良い気が流れる瞬間があります。
書字障害があっても(あるいは、書字障害があるからこそ)、集中して字を書くときの良い気がもたらす効果は絶大だと感じます。
生徒が字を書く様子をただ見ていると、なんだかとても満ち足りた気分になれます(たぶん生徒もそうだと思います^^)。
効果はあとからついてきますので、まずはスローな雰囲気を味わってみて下さい。

2019年8月11日日曜日

190803 中1クラス夏期講習(質問特集,フィギュアを使った文法指導)

稲荷神社が大好きな伏見さんより:

    皆様こんにちは。もじこ塾助手の伏見です。
最近、もじこ塾の訓練が大変役に立った事がありましたので、ご報告させていただきます。
   その訓練はQA100です。
私は脳の処理速度が他の能力よりも低いため、瞬間的な判断力を必要とするこの訓練が苦手でした。今も得意と言える程ではありません。
しかし、助手業の一環として頻繁にQA100に参加する中で、徐々にですが、瞬間的に応えられるようにはなってきていました。
   そして先日、丁度大学で英語の試験がありました。内容は、自分が決めたものを英語で先生に紹介し、更に先生がそれに対して英語で質問し、また英語での説明を求める、というものでした。
正直なところ「質問に対して反応するなど出来るわけがない、紹介で手一杯だ、さようなら私の英語の成績」と思っていました。
   結果は予想外でした。
意外にも沢山答えられました。適切な単語が思い浮かばなくても、その単語を使わずに、自分の知っている単語を使って別のアプローチをしてみたりと、とても今までの自分からは想像もできないような芸当をして見せました。先生まで「全く問題ないよ」と太鼓判を押してくれました。
   最初は何故出来たのかわからなかったのですが、ふとQA100を思い出しました。QA100は質問されてそれに答える訓練です。恐らくこれを繰り返した事で英会話が上達したのだと思います。元々私は基本英語で質問されても答えられず固まるタイプでした。それを踏まえるととんでもない進歩です。
決して滑らかに答えられた訳ではないのですが、ここまで明確に結果が得られると苦手なQA100ももう少しだけ頑張ろうと思えます。
やはり努力の積み重ねがものを言いますね。
皆さんも頑張って!

~~~
いい話~(*´∇`*)

たしかに伏見さんは,スピード重視系のアクティビティは得意ではありません。中学生の多くよりも苦手なくらいです。
でも,回を重ねると苦手でも着実に速くなっていきますし,時には機転の利いた答えも言えるようになってきます。
そうしていくうちに,全然別の機会(大学の定期試験とか)で,地道な繰り返しの成果が表れたりするのですね。


伏見さんが「QA100」と呼んでいるものは,もじこ塾内で改良を加え,
いまは「質問特集」と呼んでいます。



もとはこの本から始まりました。『QA100』(mpi)
この「質問特集」は,2通りの使い方ができます:

1) 基本中の基本表現を定着させるため。
I am ...,I do ...,I can ...,さらには I like ...,
She is ..., He does ...,I did ...,
といった最も基本的な構文は,考えなくても口から出るようにする必要があります。
なぜなら,ディスレクシア的には,考えなくても言えるレベルまで持っていければ,書くときの負荷が,なくなるとまでは言いませんが,だいぶ減るからです。

基本表現の定着が目的のため,もじこ塾では「フィクション設定でもOK」と繰り返し伝え,質問に脊髄反射することを目指しています。
この点は賛否があるようですが,実社会でも真実を必ずしも言わなくてもいい場面って,けっこうあると思います・・・

2) 英会話の練習のため。
慣れてきたら,1つの質問に対し,2~3文で答えてもらうこともできます。会話を自分で発展させる必要があるため,反射神経に加えて発想力や表現力が必要になってきます。
自分なりの定番の答えを作り込んだり,ひねりの効いた答えを用意したり,あるいは数を稼ぐためにYes, I do. I like dogs very muchといった定型表現ですばやく切り返そうとする生徒も。
伏見さんが上で効果を感じたのは,この使い方のほうです。

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話変わって,
中1クラスでは,フィギュアを使って文法指導を行っています。

These are ... / This is ...の練習。
隣接しているマスに同じフィギュアが並んでいたら「These are (children)」と指さしてフィギュアをゲット。
なければ「This is a (snake)」指さしてフィギュアをゲット。
できるだけ多くのフィギュアをゲットした人の勝ちです。
同様に,Those are ... / Are they ...? などの練習も可。


フィギュアを使ってin, on, between, underなどを使った文で説明できる状況をつくり,言ってもらう。
多く言えた人の勝ち。

何度もゲームで遊んでから,その日の授業の最後に,書いてもらう。
書く内容は,その直前に口頭で練習した内容に限定する
文字だけで文法を教えるのは,字を読むのに苦労しているディスレクシア的にはとても苦しいことです。「聞く・話す」→「読む」→「書く」の順で進めます。

1)文法説明
These are cats. /This is a cat.の文法を説明します。例文は文字でも示し,フォニックスルールに沿っていない単語は読み方を説明します(areなど)。

2) 実物を使ったパターンプラクティス
These are ... . / This is a ... . という例文を,フィギュアを使いながら,たくさん作っては言ってもらいます。
例文の文字は示しますが,厳密に読むことはあまり要求しません。

3) 文章を使ったパターンプラクティス
文法概念がかなり定着したら,フィギュアを片付けて,These are ... / This is a ... という例文だけを示して,パターンプラクティスを行います。
練習は口頭で行い,書かせることはしません。

4) 問題を読んで答える
3)ができるようになったら,ようやく書いてもらいます。
問題文は読んでいる場所を示しながら,教師が読み上げます。

ディスレクシア的には,3)でスムーズに言えない例文は,まず書けません。
それどころか,3)でスムーズに言えても,書くことには本当に苦労します。
でも,1)からいきなり4)に飛ぶ一般的な日本の学校教育よりは,だいぶわかりやすいのではないかと思います。