もじこ塾で使っている「ブロック体練習帳」(Let's Practice Handwriting!)と「筆記体練習帳」(Let's Practice Cursive!)の使い方をまとめました:
・まず「ブロック体練習帳」(Let's Practice Handwriting!) から始めてください。
ブロック体練習帳が終わってから、「筆記体練習帳」(Let's Practice Cursive!)に進んでください。
・もじこ塾では、授業の最初の10分を、筆記体の時間にあてています。
クラスによっては歓談が盛り上がるので、最後の3分間は静かに書いてもらいます。
◆ブロック体練習帳
「I do、we do、you do」の精神が基本です。
1. 先生がお手本を示す
↓
2. 一緒にやってみる(先生が見守るなかで試す)
↓
3. ひとりでやってみる
の順番で進めてください。
【基本形】
まず先生がお手本で書くところを、見せてあげてください。
書きながら、運筆を言葉で説明します。
もじこ塾では、最初は一斉に始めるので、新書大の小さなホワイトボードを使って、全体に示しています。
そのあとは、個人のペースで進めますので、個別に示します。
【基本形を使って文字を書く練習】
・新しいページを開いたら、生徒に「これは何という字?」と聞き、フォニックス読みを言ってもらいます。
・正解したら先生が復唱します。
・「心の中で…と言いながら書いてね」とうながし、書いてもらいます。
例
先生:これは何という字?
生徒:ディー(d)
先生:そうだね、で、なんて音だっけ?
生徒:/d/
先生:/d/、very good。(書きながら)芽が出たアーモンドを書いたら、上まで芽をぐ~っと伸ばして、折り返して、来た道を極力帰って、スマイル。心の中で/d/、/d/って言いながら書いてね。
・間違えても、消して書き直す必要はありません。
もじこ塾では、消そうとしたら「そんなことしなくていいよ」と止めています。それでも消して書き直そうとすれば止めませんが。
次に書くときに修正できれば、OKです。
英語の文字は、自分なりに書きやすいよう、多少アレンジしていいものです。
aの最後にスマイルをつけるかどうか、gの最後にループをつけるかどうかは、自分で決めてよいのです。
何度か書いて、自分の書きやすいバランスを探ってください。
小学校の漢字学習にありがちな厳格さを、要求しないでください。
↑この生徒は、pの傾きをいろいろ探り、垂直に書くのが楽だと気付いたようです。
きれいに書けるようになったら、次の字に進んでかまいません。
一方、熱中して隙間なく書く生徒もいます。良い書字練習になりますので、ほめてあげてください。
・10分たったら、そのときに書いている行を最後まで書いて、終わりにします。
ブロック体練習帳は教室で預かります。
家で復習する必要は特にないと思っています。手に書字用の筋肉をつけること、手に運筆を覚えさせることが目標です。
・dとbは、正しい運筆の順番を念押しし、書いているところを見て、正しければほめ、間違っていればやさしい口調で訂正してください。
特に、dを棒から書くと反転しやすくなります。ここで正しい順番を覚え、その後も普段から正しい書き順で書くように伝えてください。
◆筆記体練習帳:
ブロック体練習帳が終わったら、いよいよ筆記体の練習です。
もじこ塾では、10分ぶんの筆記体のプリントを用意し、ホッチキスで留めてその都度渡しています。(紺さんが、生徒一人ひとりの書字のスピードを覚えていて、その子にあわせた量を綴じています。)
まず、最初のページにある、筆記体の効果を言ってあげてください。
「字がきれいになる」「スペルが覚えやすくなる」「英語が読みやすくなる」などです。
小文字では、新しい文字が登場するたびに、
1)「これは何ていう字だと思う?」と質問してください。
答えがすぐ横にあるので、先生が指で隠して質問してください。
字形をじっくり観察するのは、ディスレクシア的に貴重な時間です。
2)あたったら「good!」とほめます。
数秒考えてわからなかったら、正解を教えます。
「なんでこんな形になったんだ~」などと、形について議論するのもおすすめです。
3) 一度、運筆のお手本を示してください。
横に運筆の説明を載せてありますので、適宜参考にして頂ければ幸いです。
4) 本人に書いてもらいます。
先生は、正しく書けていることを、見守って確認してください。
5) 単語について
単語は、原則としてフォニックス読みできるものを選んでいます。
新しいページに入るごとに、単語を読んでもらいます。
少し考えて読めない場合は、先生がペン先で1文字ずつ指しながらフォニックス読みし、生徒にブレンディングさせてください。
例
先生:(1文字ずつ指しながら)「m」「a」「p」
生徒:「map」
たまに、フォニックス読みできない単語も含まれています。中1の教科書に登場することから収録してあります。
このような単語は、意味を言ってあげたり(「これは「小さい」って意味の…」)、フォニックス読みできる部分だけでもフォニックス読みしながら、読み方を教えます。
・上手に書けなくても消す必要がない点は、ブロック体と同じです。
・単語の意味も、さりげなく伝えることをお勧めします。
でも、単語の意味を覚えることが目的ではないので、理解を確認したりはしないで下さい。
・もじこ塾は中学生には宿題を出さないので、この練習帳は宿題にはしていません。
どちらかというと、目の前で運筆の様子を先生が見ているほうが、効果があるかもしれません。
なお、大学受験生には宿題にしています。
この場合も、渡すときに単語を読んでもらいます。提出されたものを見ながら感想を言い合います。
~~
筆記体の時間中、教室内にふっと良い気が流れる瞬間があります。
書字障害があっても(あるいは、書字障害があるからこそ)、集中して字を書くときの良い気がもたらす効果は絶大だと感じます。
生徒が字を書く様子をただ見ていると、なんだかとても満ち足りた気分になれます(たぶん生徒もそうだと思います^^)。
効果はあとからついてきますので、まずはスローな雰囲気を味わってみて下さい。