2019年8月11日日曜日

190803 中1クラス夏期講習(質問特集,フィギュアを使った文法指導)

稲荷神社が大好きな伏見さんより:

    皆様こんにちは。もじこ塾助手の伏見です。
最近、もじこ塾の訓練が大変役に立った事がありましたので、ご報告させていただきます。
   その訓練はQA100です。
私は脳の処理速度が他の能力よりも低いため、瞬間的な判断力を必要とするこの訓練が苦手でした。今も得意と言える程ではありません。
しかし、助手業の一環として頻繁にQA100に参加する中で、徐々にですが、瞬間的に応えられるようにはなってきていました。
   そして先日、丁度大学で英語の試験がありました。内容は、自分が決めたものを英語で先生に紹介し、更に先生がそれに対して英語で質問し、また英語での説明を求める、というものでした。
正直なところ「質問に対して反応するなど出来るわけがない、紹介で手一杯だ、さようなら私の英語の成績」と思っていました。
   結果は予想外でした。
意外にも沢山答えられました。適切な単語が思い浮かばなくても、その単語を使わずに、自分の知っている単語を使って別のアプローチをしてみたりと、とても今までの自分からは想像もできないような芸当をして見せました。先生まで「全く問題ないよ」と太鼓判を押してくれました。
   最初は何故出来たのかわからなかったのですが、ふとQA100を思い出しました。QA100は質問されてそれに答える訓練です。恐らくこれを繰り返した事で英会話が上達したのだと思います。元々私は基本英語で質問されても答えられず固まるタイプでした。それを踏まえるととんでもない進歩です。
決して滑らかに答えられた訳ではないのですが、ここまで明確に結果が得られると苦手なQA100ももう少しだけ頑張ろうと思えます。
やはり努力の積み重ねがものを言いますね。
皆さんも頑張って!

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いい話~(*´∇`*)

たしかに伏見さんは,スピード重視系のアクティビティは得意ではありません。中学生の多くよりも苦手なくらいです。
でも,回を重ねると苦手でも着実に速くなっていきますし,時には機転の利いた答えも言えるようになってきます。
そうしていくうちに,全然別の機会(大学の定期試験とか)で,地道な繰り返しの成果が表れたりするのですね。


伏見さんが「QA100」と呼んでいるものは,もじこ塾内で改良を加え,
いまは「質問特集」と呼んでいます。



もとはこの本から始まりました。『QA100』(mpi)
この「質問特集」は,2通りの使い方ができます:

1) 基本中の基本表現を定着させるため。
I am ...,I do ...,I can ...,さらには I like ...,
She is ..., He does ...,I did ...,
といった最も基本的な構文は,考えなくても口から出るようにする必要があります。
なぜなら,ディスレクシア的には,考えなくても言えるレベルまで持っていければ,書くときの負荷が,なくなるとまでは言いませんが,だいぶ減るからです。

基本表現の定着が目的のため,もじこ塾では「フィクション設定でもOK」と繰り返し伝え,質問に脊髄反射することを目指しています。
この点は賛否があるようですが,実社会でも真実を必ずしも言わなくてもいい場面って,けっこうあると思います・・・

2) 英会話の練習のため。
慣れてきたら,1つの質問に対し,2~3文で答えてもらうこともできます。会話を自分で発展させる必要があるため,反射神経に加えて発想力や表現力が必要になってきます。
自分なりの定番の答えを作り込んだり,ひねりの効いた答えを用意したり,あるいは数を稼ぐためにYes, I do. I like dogs very muchといった定型表現ですばやく切り返そうとする生徒も。
伏見さんが上で効果を感じたのは,この使い方のほうです。

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話変わって,
中1クラスでは,フィギュアを使って文法指導を行っています。

These are ... / This is ...の練習。
隣接しているマスに同じフィギュアが並んでいたら「These are (children)」と指さしてフィギュアをゲット。
なければ「This is a (snake)」指さしてフィギュアをゲット。
できるだけ多くのフィギュアをゲットした人の勝ちです。
同様に,Those are ... / Are they ...? などの練習も可。


フィギュアを使ってin, on, between, underなどを使った文で説明できる状況をつくり,言ってもらう。
多く言えた人の勝ち。

何度もゲームで遊んでから,その日の授業の最後に,書いてもらう。
書く内容は,その直前に口頭で練習した内容に限定する
文字だけで文法を教えるのは,字を読むのに苦労しているディスレクシア的にはとても苦しいことです。「聞く・話す」→「読む」→「書く」の順で進めます。

1)文法説明
These are cats. /This is a cat.の文法を説明します。例文は文字でも示し,フォニックスルールに沿っていない単語は読み方を説明します(areなど)。

2) 実物を使ったパターンプラクティス
These are ... . / This is a ... . という例文を,フィギュアを使いながら,たくさん作っては言ってもらいます。
例文の文字は示しますが,厳密に読むことはあまり要求しません。

3) 文章を使ったパターンプラクティス
文法概念がかなり定着したら,フィギュアを片付けて,These are ... / This is a ... という例文だけを示して,パターンプラクティスを行います。
練習は口頭で行い,書かせることはしません。

4) 問題を読んで答える
3)ができるようになったら,ようやく書いてもらいます。
問題文は読んでいる場所を示しながら,教師が読み上げます。

ディスレクシア的には,3)でスムーズに言えない例文は,まず書けません。
それどころか,3)でスムーズに言えても,書くことには本当に苦労します。
でも,1)からいきなり4)に飛ぶ一般的な日本の学校教育よりは,だいぶわかりやすいのではないかと思います。