2019年7月24日水曜日

190721~24 フォニックス講座



今年の夏も、フォニックス講座を行っています。
英語の44の音と文字の対応を、3日間かけて教えます。



0. 「ここはどういう塾だと聞いてきたの?」
「ディスレクシアのために英語をわかりやすく教えるところ」と答える生徒は10人に1人いるかどうか。「英語が苦手な人でもわかるように教えてくれる塾」「学校とは違うやり方で英語を教えてくれるところ」など、"ディスレクシア"という言葉を使わない答えが多いです。「フォニックスが必要だと親に説得された」という生徒もいました。
「頭が悪い人のための塾」と答える生徒もいます。そういう生徒には「頭が悪いわけじゃないんだよ。英語の字が苦手なんだよ」と言います。


1. ブロック体練習帳(10分)
いろいろ試しながら、自分なりにバランスのとれるポイントを探ります


pやbは特に反転しやすい文字です


春休みから作り込んでいる教材。
日本語とは異なる運筆を練習することで、協調運動能力の向上を意図しています。
実際、英語の字の形を明示的に教えることで、書字がかなり改善します。



2. フォニックス(英語の44の音)
「この表は、英語の字をどう読むかを教えるためのものです。
ローマ字と英語は,似ているところもあるけれど,違うところもけっこうあります。これから教えるのは英語としてのアルファベットの読み方です。
フォニックスを使って単語を読むようにすると、自力で読めるようになるし、教科書に出てくる単語も覚えやすくなりますよ。」

と伝えた上で、英語のレターサウンド(文字と音の対応)を、一文字ずつ教えていきます。
口の形をしっかり作って正しい音を出せることが、正しく聞き分けること=音韻認識※のベースになります(※単語を聞いたときに、いくつの音/どの音から構成されているかを認識する能力)のもとになります。
ディスレクシア的には、この能力が正しくスペルできることに直結します。
1日で3列は進みます。

1列終わったら、ひとりずつ言ってもらいます。

3. ブレンディング
1列終わったところで、ブレンディング(=「音の足し算」。各字をフォニックスで読み、それを高速につなげて読む方法)を教えます。
step、nap、nest、などで実演します。

4. フォニックスビンゴ
2列終わったところで、ビンゴを行います。

フォニックス指導において、フォニックス表を教えることは、あくまで第一段階。
そのあと、フォニックスを使って単語を読む練習を行う必要があります。

ディスレクシアであっても、44音の表を覚えることは,それほど難しいことではありません。
難しいのは、フォニックス読みを、初見の単語に活用する部分です。
数年単位の反復練習が必要です。


フォニックス講座は写真を撮っていないため、普段の授業のビンゴの写真をご紹介します



4. BBカードまたはAGO
ときどき休憩がてら、英語のゲームをはさみます。
フォニックスを学ぶのはかなり疲れます。英語のひとつの音に注意を向けるのは相当頭を使いますし、ディスレクシア的にはそれを使って読むのもとても大変です。なので、こまめに休憩をとりながら進めます。


5. ハリボーチャレンジ
授業の最後に行うことが多いアクティビティ。
文字を介さずに,単語をオト(音韻)に分解することが目的です。

ビンゴに登場した単語をこちらが読み上げ、生徒にはそれをハリボーで表現してもらいます。これができない生徒が一定数います。音韻性ディスレクシアの最大の困難とされる「単語を聞いて音に分解できない」(=音韻認識が弱い)に直結する症状です。
これができない生徒にとって、単語のスペルを覚えることは、音とまったく無関係なので、たいへんな苦行のはず。簡単に覚えられるはずがありません。
遠回りなようで、単語に含まれるオト(音韻)を正しく数え、認識し、対応する文字と結びつける・・・という作業が読み能力の向上には不可欠です。

「音韻認識があるかどうかは,その生徒のその後の読み能力を予見する最大の要素である」と,
IDAでは言っています



参加した生徒さんへ:
夏休みの最初から,よく頑張りました。
3日間,耳と口をたくさん使って,疲れたことと思います。
何度か練習して,夏休み中にフォニックスをぜひ自分のものにして下さいね!