2020年2月8日土曜日

200131 国立中1クラス(新しい助手が加わりました/scaffolding)

国立教室に、新しい助手が加わりました。
ディスレクシア英語教育を研究する、大学院生の「みかん」さんです。

はじめまして、助手のHNみかんです。
大学院生で、勉強のため1月から助手として参加させていただいてます!
どうぞよろしくお願いいたします。






早速ですが、いくつかの授業に参加させていただいたなかでたくさんの発見がありましたので、少しだけ書かせていただきます。

まず、初めて参加させてもらったクラスで「字体の変化による戸惑い」を生徒さんから聞きました。
ある生徒さんは「yって自分の学校(の字体?)ではもっと斜め」と言っていて、たしかに
いろんなyの書き方があるのに(例えばgと同様、最後が丸くなるかならないかなど、人によってもyの書き方ってそれぞれですよね)、なぜ「これは”y”だ」と認識できているのだろう…と考えさせられました。

おそらく様々な書き方があれど、その共通項を抽出してそれに当てはまっていれば「これは”y”だ」と判断しているのだと思いますが、「読み」とは非常に複雑なプロセスを経た行為なのだと思いました。

※Sassoonの「y」の字(数学のyに近い)を見て、ある生徒が「これ何て書いてあるの」と聞いてきたときの話ですね。
もじこ塾の生徒のなかには、フォントが変わると同じ字だと認識しづらくなる生徒がかなりいます。明示的に教える必要があるようです。

そして「英語学習はかなり視覚的な情報に依存している」ということを、生徒さんの言葉から改めて感じました。これは視覚障害の場合に英語学習について、当事者の方が仰っていたことなのですが、よく考えたら、ほとんど誰もアルファベットの形について詳しく説明されたことはないのではないでしょうか…?
「暗黙の了解」や「当たり前」とされていることに改めて気づかされるよい機会となりました。




さらに、中学1年生で習うとてもよく見る英単語に、いかにフォニックスやマジックeのルールの例外が多いかということも気づかされました。

例えば”have”は、語尾にeがついておりマジックeルールが適用される…と思いきや、eの1つ前の母音”a”は短母音のままなんですよね…。”have”ってとてもよく使う単語ですよね。英語は本当にスペルと読み方が不規則な言語だなあと理不尽さを感じました。

※中1の教科書に出てくる単語の半分は、フォニックスルールに従わないそうです。
英語って鬼畜ですね…でも、学年が上がるにつれ、フォニックスで読める単語の割合は増えますので、フォニックスルールがあてはまらないからと言って、気落ちしてはなりません。
ちなみにフォニックスルールにあてはまらない頻出語を「サイトワード」と呼び、これはデコーディングせずに暗記するしかありません。

個人的には、マジックeルールを知ったことで、「なぜポケモンは英語になると”Pokemon”ではなくeの上に点がつくのか?」という謎を解くことができました。嬉しかったです。

生徒さん同士の交流も見られ、お互いいい刺激を与えたり与えられたりしながら今後も英語の勉強を頑張れるとよいなと思いました!これからお世話になりますが、どうぞよろしくお願いします。

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みかんさんには、中2と中1クラスの両方で、特にデコーディングの困難が強い生徒に張り付いてもらっています。
生徒の横に座り、読み書きに関わるアクティビティ(筆記体、フォニックスビンゴ、プリントで文法問題を解く、など)のときに、1文字ずつ読み上げてもらっています。

これがかなり効果がありまして…
少しだけ助け船を出すことで、その生徒は集団授業についていけるようになります。
結果、集団授業の良さ(ゲームを使って学習事項を定着させる、他の生徒との交流を通じて特性理解が進む、時々休むことができる)も得ることができます。
おそらく、1対1で助け船の部分だけを特訓すると、ものすごく疲れますし、あまり楽しくないだろうと思います。
これが、IDAで言っているscaffolding(直訳すると「足場をつくること」)に違いない、、とひとり高揚してます^^。

みかんさんは、もじこ塾で初の、ディスレクシアでない助手です!
どんな新しい風を吹き込んでくれるのか、楽しみです。