2019年12月28日土曜日

191215-22 フォニックス講座

フォニックス講座を行いました。




フォニックス講座では、英語の44の音がどの文字に主に対応するかを学びます。
この「文字と音の対応」のことをフォニックスと呼びます。
2日間で、上の表のsからthまで進みます。

フォニックス講座では、この表が全部終わらないうちから、フォニックスを使って単語を読む練習をします。
これこそが、講座のメインイベントです。
シンセティック・フォニックスの利点に、3つほどの文字を学んだら、すぐにブレンディングの練習に進められるという点があります。
フォニックス講座では、1列目が終わったところで「フォニックスの使い方」としてブレンディングの例を示します(「n-e-tをつなげて読むとnetになるよ」)。
2列目が終わったところでフォニックスビンゴをして、25個の単語を読んでもらいます。

ほとんどの生徒は、フォニックス表を覚えることにはそれほど苦労しませんが、フォニックスを使って単語を読むことには、程度の差はあれ苦労します。ブレンディング(n、e、s、tの4つの文字をつなげて読むこと)やデコーディング(dropという単語を「ドロップ」と読み上げること)に苦労しています。

授業内容
1. ブロック体(Let's Practice Handwriting)
2. s~lまで教える
3. フォニックスビンゴ(s~lからなる単語のみ構成
4. AGO phonics(フォニックスをからめたUNO)
5. Long a~uまで教える
6. magic eを教える
7. フォニックスビンゴ(magic e)
8. ハリボーを使い、フォニックスビンゴに登場した単語をハリボーで表現してもらう



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今回、新たにコタくんが助手デビューしました。
ごあいさつがてら、日誌に初登場です!
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助手見習いとして二日間参加させていただきました。コタです!

軽く自分について説明すると、4月からもじこ塾に通い始め、AO で大学を決めたという感じです!
小学校教員を目指しているのでもじこ塾の助手をさせてもらうことになっています!
よろしくお願いします。

初めて助手として、また初めて中学生のクラスを見たのでとても色々な発見があり勉強になりました。
その中でも一番強く感じたことは、同じディスレクシアを持っていても色々なタイプがいるなと改めて感じました。
自分と初対面なのにすぐに打ち解けてくれる子、逆になかなか殻が硬いタイプの子、英語が嫌いな子や好きな子、様々なタイプの子がいて一人一人違うということを強く感じました。

もうひとつ、不思議だなと思ったのは、授業前の遊びで神経衰弱をしたのですが、3人で行って取れたのが2ペアだけだったことにとても驚きました。
もじこ先生に聞くと、ワーキングメモリーが小さいことが原因なのではないかと言っていたので、自分とは違うタイプでとても興味深いなと思いました。
以前自分が読んだ本の中に、ワーキングメモリーを鍛える様な「コグトレ」と呼ばれるものがあったことを思い出したのでそれについても少し調べてみようかなと思いました!

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多動の子、こだわりが強そうな子、多動もこだわりもなさそうな子。神経衰弱ひとつとっても、すごくできる子ととても苦手な子がいますし、いざ読んでもらうと意外と読める子、とても苦労する子がいます。コタくんの言う通り、一口に「英語が読めない」と言っても本当にさまざまです。
きっと同じ感想を、生徒のみなさんも持ったのではないかと思います。
さまざまな特性持ちに接することを通じて、自己理解を深めてほしいと願っています。



2019年12月19日木曜日

191218 新宿中2クラス(大所帯の年内最終回)

新宿中2クラスの年内最終回は,いろんなめぐりあわせで,大所帯となりました。

普段通りの授業内容ながら,生徒の成長を感じ,胸がいっぱいになりました。


もじこ塾のルールを念押ししてから,授業を始めました:
1. 教室に入ったら、授業終了までは電子機器使用禁止。
2. 人の間違いを笑わない。
そして,
3. 人が話している時はちゃんと聞く。

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1. 筆記体 
大文字が終わりそうな生徒が多いです。完走後は月や曜日,不規則動詞活用,ことわざや格言を書いていきます。



2. ビンゴ
どんどん読んでいきます。ずいぶん読めるようになりました。



3. 質問特集
1つの質問に2文で答えてもらいました。
4. AGO
Today's Special と書いたカードを4枚入れています。このカードを出した人は,その日のお題(この日は「自己紹介をする」)に答え,文のカードに応じてカードを稼ぎます。稼いだカードを2人以上の人に渡すことができます。

5. 休憩しながら英語で自己紹介
久しぶりの生徒がいたので行いました。みんな慣れているのでどんどん話せます。

6. Let's Read
1人1行ずつ読み,発音を確認してから,1人ずつノーミスチャレンジをしてもらいました。これも,ずいぶん読めるようになりました。


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巫女さんのお仕事のため、年末年始は助手をお休みする伏見さんより:

こんにちは。伏見です。
今回も水曜日の中学生クラスについての日誌を書いていきたいと思います。

本日の授業ではなんと生徒8人が勢揃いしました。
新宿のもじこ塾史上、これだけの生徒さんが一堂に揃ったのは初だそうです。

助手としては、
「みんな特性持ちだから特性持ちゆえのアグレッシブさでgoing my wayしないかな?収拾つくかな?授業成り立つかな?」
という心配を少々していたのですが、始まってみると心配は杞憂に終わりました。

確かにみんな元気ではあるのですが、結構まとまってるのです。
イメージでいうと龍みたいな感じです。

誰かが特性持ち独特の感性で面白いことや気がついたことを言って、それにみんなが共鳴する形でドドーッとそちらの方向に流れていくのです。
よって常にまとまった空気の流れが存在していました。

授業もそのような様子で聴いてくれたのでいつもと同じ調子で進んで行きました。

そして何より、生徒さん達がとっても楽しそうでした。
みんなこの塾に集まっているということは、どこかしら共通する感性を有しているということなので、“学校”という社会に合わせた空気とは異なる、“私達の空気・雰囲気”というものが出来上がっていました。
始終ほわほわした雰囲気で、見ている私も楽しかったです。

本日で最後になる生徒さんもいらっしゃいましたが、本当に良い「楽しい学びの空間」だったので楽しい記憶になったと思います。

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大所帯でも授業がだれないよう,カードの回収にさっと協力してくれたり,
「これは読めるから省略していいんじゃないですか」と言う生徒がいたり,
いつもなら思ったことを全部口に出す生徒も少し自重していたり・・・
生徒たちのほうから,スムーズで和気あいあいとした授業進行を作り上げるぞという思いが感じられて,メニューをこなしながら胸がいっぱいになりました。
長年授業をしていても,生徒の思いがここまで一体化することは,なかなかありません。

もじこ塾で教えているのは,あくまでも英語の読み方ですが,実は生徒たちは英語の読み方よりはるかに大事なことを,学びつつあるらしいです。

誤解にもとづく評価を受けたときに,どのような心持ちで臨むのか。
文字という圧倒的に不利な戦いと,自分のなかでどう折り合いをつけるのか。
自分が大事と決めたことに,どう向き合っていくのか・・・。

このクラスの生徒たちは,出席しながら,休みながら,あるいは卒業するときに,それぞれの答えを垣間見せてくれました。本当に立派です。
ディスレクシアでも(ADHDでも、自閉圏でも)、特性を正しく理解することは途中本当につらいものの、人を大きく成長させるのだと実感し、感無量でした。

このクラスの次回授業は年明けです。
年末年始は、普段できないことをして、楽しく過ごしてくださいね!



2019年12月12日木曜日

191125 時雨くん(筆記体の効果)

時雨くんより:

今回は「筆記体の練習の効果について」とお題をいただきました。

筆記体を始めてからブリッジを気にするようになり理系教科でアルファベットを書く時の一意性が上がったこともありますが、それ以上に英語の文のリズムが身についたように思います。

oとsの間が「ブリッジ」。
最初はcosも書けなかったのです



英作をしているなかで修飾を含めた名詞をいれる型が出てきやすくなり、方針が早く決まるからこそ一つ一つの修飾被修飾の塊を考えることに集中できて文を複雑にしやすくなったように感じます。





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「筆記体をやって、英語の抑揚やリズムがわかるようになった」
Σ(゚Д゚)という驚きの告白をしてくれた時雨くん。

何が不思議って、字を"書く"練習によって、抑揚やリズムといった英語の"音楽"を体得しているところです。
文字と音には不思議な関連性があるようで・・・

どういうことなのか、考えてみました:

 ・時雨くんには,数学や物理の格言を書いてもらっています。
格言というのは、抑揚がとりわけ強調されたフレーズです。
抑揚が正しく強調された文を頭の中で何度も音にすることで,英語のリズムが身につくことは十分考えられます。

・「書いている最中は、頭の中で音にしている」。1つの格言を4~5回書くのですが,「4回目にはだいぶ音を覚えている」。
書くペースというのは,黙読はもちろん,音読のペースよりも遅いわけですが,これがデコーディング(頭の中で文字を音にする)のペースとちょうど合っているのかもしれません。

・純粋書字練習によって協調運動が整うことで、それまで理解できなかった抑揚が理解しやすくなっているのかもしれません。

時雨くんの英語の字は、以前よりも判読しやすくなりました。
また,話す際にも音読する際にも(自分ではわからないらしいですが)ちゃんと英語の抑揚がついていますし,抑揚が間違っているときは,たいてい構文を勘違いしています。
・・・とこのように,書字も抑揚も進歩しているのですが,それが筆記体効果という一本の線でつながっているとしたら驚きです。

・時雨くんは「抑揚からわかる意味がある」(゚Д゚)とも言っています。
(他の生徒もまったく同じことを言っています。)
時雨くんも単語を覚えるのに相当苦労していますが、その分、単語と意味の一対一対応を超えたところで理解できる意味があるようです。


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授業内容
・宿題
和文英訳(1日1本)
筆記体(1~2日で1つ)

・授業(80分×週3回)
英会話(10分以上、質問に英語で答えてもらう。中学生と同じ教材)
鉄壁(毎週1章、単語テスト:単語を見て日本語を答える)
精読(下線部を正確に読んで、和訳する)
読む量を減らして解く(どれだけ少ない読字量で問題を解けるか)


IDAに行って、このメニューはアメリカで想定されている典型的なディスレクシア用読字訓練にかなり近いらしいと分かりました。
この内容は本当にハードで、普通では考えられないレベルの覚悟と体力が必要です。

2019年12月7日土曜日

191202 国立中2クラス(シュタイナー学校からの新入生)

紺さんより:

このクラスに、新しい生徒が二人加わります。
どんな変化が起こるのか楽しみです。いっしょに訓練していきましょう。

ビンゴや、質問特集(2文)、初見の文章を音読するなど日々訓練しています。

最近、このクラスでは私が言葉で注意する場面が増えています(ごめんね)。
笑いだすと止まれない、雑談が止まらない、先生の話を聞いてないように見える様子が
かなり増えたと感じるためなのですが、
中学2年というのは、深夜テンションみたいな瞬間が多い年頃かもしれませんね〜。
精神的に落ち込んでしまうよりは全然いいかも?
私も大らかに受け止めれられるように頑張りますね。

学校も大変だと思いますが「他の塾の課題もテストもあって大変」という会話も
できてしまう生徒さんたち。
多忙で、英語も努力の成果か読めるようになっているし、
賢いし、勉強の習慣もしっかり身についているからこそ、
ストレス発散な部分が圧倒的に足りてないのかもしれません。
せめて、もじこ塾にいる時間だけでも、勉強を他人の競争と捉えずに。
自分のペースを把握しながら、自分のペースで進めていって大丈夫なんですよ。(′v`)


1. 筆記体

小文字、大文字を終えたので、月や曜日を書いてもらっています。
このあと、不規則動詞活用、格言と続きます。


2. フォニックスビンゴ
3. 質問特集
4. AGO
5. 文法(比較級)



6. Let's Read
Dreams by Langston Hughes
短い詩を読みました。


シュタイナー学校の生徒さんが新たに入りました。

シュタイナー学校は小中高一貫。中学受験も高校受験もなく、それどころか成績表もペーパーテストも一切ないとのこと。
互いにどのような反応をするか、ちょっと不安もあったのですが、ふたを開けてみるとどの生徒も驚くほど自然な好奇心とともに、自分と違う環境の同学年の生徒を受け入れていました。

シュタイナー学校の英語教育は、かなりディスレクシア・フレンドリーと言えそうです。
小3で長い期間をかけて徹底的にシンセティック・フォニックスを教えているとのことで、色鉛筆できれいに彩色されたノートを見せて頂きました。
英語の授業は小1からあり、最初は音から入るそうです。音を徹底させてから読むことに進むとのこと。
書字指導も非常にスモールステップ。直線をきちんと書く練習から入るそうです。
美しさや言葉の音楽が非常に重要視されている点も、ディスレクシア・フレンドリーです。

本家ドイツにはLD向けのシュタイナー学校もある(?!)そうですが、そうでない普通のシュタイナー学校でも、十分にLDフレンドリーのようです。

このクラスは会話が多いクラスで、紺さんの言うとおり、最近はちょっとヒートアップしすぎかなと感じる場面がありました。少しずつ受験のストレスを感じているのかも?
新しい仲間が加わることで、いい方向に変化することを願っています。

2019年12月4日水曜日

191203 ぱぱさん(LD学会参加レポート)

お久しぶりです。どうもぱぱです。
僕の学校は先月に無事文化祭が終わり、とうとう受験と向き合わなければいけなくなりましたw
ですが、今回はそれと向き合う前に少しあることについて話そうと思います。


11/10に僕はパシフィコ横浜で開催された日本LD学会に行ってきました。
これはあとから聞いたのですが、高校生で参加した人は僕が初めてだそうですw

そこでは色々な発表やシンポジウム、ポスターセッション等が行われていて、どれも見たかったのですがなかなか全部を網羅は出来ませんでした、、、
その中で、僕が印象に残っているシンポジウムは特別支援教育の免許についてのシンポジウムです。このシンポジウムは日本国内の話題と欧米の話題が比較されていて、非常に面白かったです。また、免許の話だけではなくて、その国それぞれの特別支援教育を含めた教育の体系についても触れることが出来たので、とても有意義でした。

また、ポスターセッションでも興味深いものがあり、それはクラスの雰囲気と発達障害を持っている児童との関連性について研究していたポスターセッションで、そこでは発達障害の児童はクラスの雰囲気となんも関係性がないということが示されていて、なんだかほっとした気持ちにもなりました。

また、生徒と教師の学級の雰囲気についてのアンケートをそれぞれ取っていて、学級が上手くいっていると生徒が感じてるほど教師はまだまだだと思っていて、逆に学級が上手くいっていないと感じてるクラスの教員ほど学級運営がちゃんと出来ていると思っているというデータを見て、なんだかとても皮肉だなぁと心の中で思ってしまいました。

また、途中では僕の高校の卒業生でLD分野の先駆者でもある上野一彦先生と少しだけお話をする機会があって、その時に『好きなことで頑張りなさい。皆同じだとつまらないからね』という言葉を頂きとても嬉しかったです。
来年の会場は恐らく福岡になるそうですが、その前に僕は受験に向き合うことにしますw


では、また今度。

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上野先生との出会いのエピソードは、なんだか小説みたいですね。。
ぱぱさんはよく「みんな同じだと面白くないじゃん」と言っていますが、まさに同じ言葉を上野先生から言ってもらえるとは。

「好きなことで頑張りなさい、皆同じだとつまらないから」と、もじこ塾のすべての生徒に言いたいです、というかディスレクシアであるかどうかに関わらず、すべての生徒に言いたいです。

英語だけでなく他教科も猛然と追い込みを始めたぱぱさん。英語は急速に構文感覚を身に付けつつあります。もじこ塾の他の生徒の例にもれず、古文が苦手だそうです。


授業内容
・鉄壁(単語テスト)
・自由英作文
・ごりごり(読解用の構文を網羅する演習教材)