2018年5月30日水曜日

180529 ハイパーレクシアのこひつじさん(新聞記事の構成,読みの強弱のつけ方)


The New York Timesを読む(新聞の読み方)
拡大鏡を使ったり、見える範囲を狭めてみたり。あの手のこの手で、何とか読む方法を先生が考えて下さりました。
リズムに乗るまでが大変でした。自分の読み癖が発見できたことが嬉しかったです。

※拡大鏡,行の下にあてる定規などを試してみました。定規については,1センテンスは見渡したいとのことで却下。いっぽう、拡大鏡は役に立ちそうです。


※本文3行目と4行目に,ちょうどofが上下に並んでいるところがあります。
ここを境に行が入れ替わってしまいました(much of a rebelと読んでしまう)
こひつじさん曰く,こういった読み間違いはよくあるそうです

最初から全力で読むので途中で疲れて眠くなってしまうというこひつじさんのために,英文の新聞記事の論理構成を教えました。
英文の新聞記事、さらには論説文は,決まった構成に従って書かれています。この構成を意識しながら読むと,内容が頭に残りやすくなるほか,読みに強弱をつけられるので,疲れにくくなります。


まず全体を見渡しながら、見出し、写真、写真のキャプションに目を通し、
何についての話なのかをつかむ。
この段階で「アイルランド」「中絶合法化」などのキーワードが分かります


英文の論理構成:
1) 1つのパラグラフでいいたいことは1つ
2) 抽象→具体の展開が基本。パラグラフの最初にまとめがあり,続いて具体的な説明が来る。「抽象」で内容がわかれば「具体」は力を抜けばよい。逆に,「抽象」で内容がわからなければ,いったん保留して続きを読み,「具体」でわかればよい。
3) 最初の1~2パラグラフは譲歩(主張の前置き)。
4) But/Howeverなどの逆接表現のあとに,全体の主張が述べられる。
5) そのあとは,主張への賛成意見/反対意見が,順に/交互に述べられる。4)がわかればここはそれほど難しくはない。
6) 固有名詞は具体例のあかし。
7) 見出し,小見出し,写真のキャプションは全体の内容把握にとって大事な存在だが,抽象的でもある。意味がわかれば全体把握の大きな手がかりになる。わからなければ保留して本文に進む。

この構成を意識しながら,まず以下に注目してみます:
・小見出し。「中絶合法化投票によって,それ(中絶合法化の賛否)以外の点では文化的に開かれている国が二分している」,つまり「中絶合法化をめぐりアイルランドが二分している」とある。
・3パラ頭のBut→この後に主張がある
・1パラ1文目(「ローマカトリック教会に関して言えば,Judyさんは長年にわたり抵抗者であった」)とある。→ここは「譲歩」

以上3点から,小見出しと1文目を読んだだけで,以下のような続きが予想できます:
・Butの前までは「Judyはカトリック教会と反対の意見を推してきた」
・Butの後には「しかしJudyは,こと中絶合法化についてはカトリック教会に賛成」
・おそらくは「Judyの意見に反対(中絶合法化賛成)の人もいる」という内容も続くはず

・・・上の予想を確認するつもりで,続きを読みます(ちなみにあたってます)。

全体の方向性を予想することで,読んで理解する作業はだいぶ楽になりますし,
ハイパーレクシア的にも,ディスレクシア的にも,苦労の多い部分(意味の想起とか,読字とか)に労力をあてられることでしょう。

こひつじさんは,小一時間かけて3~4パラグラフしか進まないことに焦っていましたが・・・大丈夫です,全体構成を意識するようにしながら5本ほども読めば,脳の使い方がかなり変わってくるのがわかるはず。そうすれば読む速度も上がり,かつ意味もわかるようになります。